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HPLCカラムの圧力が高い! この原因として考えられることはいくつかあります。
1. 新品カラムの圧力
カラム購入直後の分析開始時に「圧力が高い」と感じる場合は、今までのカラムとは異なるため、と考えられます。
分析条件が同じ場合、充てん剤の粒子径が小さいほどカラム圧力は高くなります。
たとえば今まで粒子径5μmカラムを使っていて、今回カラムサイズが同じで粒子径が3μmのカラムに付け替えた場合、同じ分析条件でカラム圧力は2倍以上高くなります。
カラム圧力は粒子径の二乗に反比例します。1.5μmカラムは3μmカラムに比べて4倍の高圧になります。しかし分離度は粒子径の平方根に反比例するので1.4倍しか向上しません。
微粒子カラムを安易に選択すると、液漏れなどHPLC装置の圧力トラブルに遭遇しやすくなります。カラム接続トラブルや液漏れメンテナンスのことを考えると充てん剤粒子径3μmくらいのカラムが今のHPLCシステムには妥当と考えられます。
(参考資料)
3μm粒子カラムの有用性
2. 注入試料中の不溶性成分
カラムに注入する試料溶液は、着色していたとしても完全に清澄である必要があります。
少しでも濁っていると、濁りの粒子がカラムに注入されてカラム圧力は急激に高くなります。
濁りを取り除くには0.45μmや0.2μmのフィルターろ過が一般的ですが、この試料ろ過により完全に濁りが取り除けたわけではありません。数百nmの微粒子はろ過できないからです。この微粒子がカラムに注入されるたびにカラム入口に堆積して徐々に圧力が上昇します。通常は高くなった圧力を元に戻すことはできません。ただ希にカラム入口のフリットで目詰まりしている場合は、カラム接続を反対にすることによって堆積した微粒子が流れ出て圧力が下がることがあります。カラムメーカーによってはカラムの逆接続ができない場合もあるので注意が必要です。
3. 高分子不純物
生体成分などの実試料には多くの高分子化合物が含まれています。タンパク質やDNA,
多糖類などです。これらは主に親水性なので注入試料溶液には溶解している清澄な場合があります。しかしこれらがカラムに注入されるとカラム内の充てん剤に捕捉されそのままカラム内に残存する場合があります。特に会合体を作りやすいアセトニトリルなどの有機溶媒を用いた移動相のときです。カラム内で会合体を作った高分子はカラムの圧力を上げ、しかも洗浄除去することはできません。したがって試料中に高分子がありそれを分析対象としない場合には、前処理により除去しなければなりません。溶解しているのでフィルターろ過はできません。
血清タンパク質などを除去する一法として 0.4M 過塩素酸もしくは5%
スルホサリチル酸を等量混合してタンパク質を変性凝固させ、遠心分離で除去する方法があります。
(参考資料)
血清中のアミノ酸LC-MS分析のための除タンパク
4. カラム劣化
充てん剤が移動相によって加水分解を受けるとシリカ粒子が破壊され微粒子となってカラム内で目詰まりすることがあり、それによってカラム圧力が上昇する場合があります。この場合はボイドやチャネリングの発生が伴うことが多いため、ピーク形状が極端に悪くなります。カラムの再生は不可能であり新品カラムと交換するしかありません。
シリカカラムの場合、pH
7を超えるアルカリ下で長時間分析するとシリカの加水分解が生じやすくなります。アルカリ分析が必要ではない場合は、中性以下のpHで分析することが望まれます。
カラムを使用しているといろいろな要因から圧力は徐々に高くなるものです。
カラムの圧力が高くてもピーク形状や物質分離に問題がないのであれば、ポンプの圧力リミッターを上げ流路の液漏れに注意しながらそのまま継続して使用することが効率的です。
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