Scherzo C18 Family

Scherzo SM-C18 カラム の汎用的な使い方

Scherzo SM-C18 は,弱カチオンと弱アニオンリガンドを導入したODSカラムです。
従来のODSカラムでは保持できない,イオン性の高極性化合物を保持させることができます。
もちろん一般的化合物の逆相分離も可能です。
移動相の工夫によっては従来以上に多種の化合物を分析できる可能性を秘めたカラムです。
Scherzo SM-C18 による汎用分析のための検討初期条件例 (LC-MS互換)


 

カラム: Scherzo SM-C18, 150 x 3 mm (SM035)

移動相A:   10mM 酢酸アンモニウム / アセトニトリル = 90 / 10
移動相B: 100mM 酢酸アンモニウム / アセトニトリル = 50 / 50
グラジエント: 0-100%B (0-15min)
流量: 0.4mL/min
カラム温度: 37℃
検出: UV, ELSD, MSなど
注入量: 1-10μL
試料溶媒: 0.1% ギ酸,0.1% 酢酸,50mM 酢酸アンモニウムなど適宜
 
 
 

分析条件設定の説明

[吸着]

Scherzo C18 カラム固定相表面には,アニオンリガンドとカチオンリガンドが共存しています。そして中性pHにおいては両イオンが解離状態にあります。

グラジエント初期条件として,10mM 酢酸アンモニウムのような「中性pH」で「低イオン強度」の移動相を用いることにより,カチオン性化合物もアニオン性化合物もどちらも「イオン的」に吸着することができます。
もちろんODSカラムですから「疎水的」に吸着することもできます。

[溶出]

溶質が固定相間に「イオン的」に吸着しているので,移動相中の「イオン強度(ここでは塩濃度)」を上昇させることにより,溶質-固定相間のイオン的相互作用を移動相中のイオンが邪魔するために,溶質は固定相から離れていきます(イオン交換カラムの原理)。
さらに有機溶媒濃度を上げることにより,「疎水的相互作用」も打ち消されて溶出することになります。

固定相とのイオン的相互作用や疎水的相互作用の強さは分析対象化合物によって異なります。したがって精密分離のためには,B液の「塩濃度」や「有機溶媒濃度」を最適化する必要があります。

[グラジエント]

イオン的相互作用は疎水的相互作用よりもはるかに強いため,ピーク形状と再現性のために,本カラムを用いてアイソクラティック分析することは一般的には推奨されません。できるだけイオン強度の変化を持たせるようなグラジエント溶出が推奨されます。
また溶出・分離挙動によっては,グラジエント初期・終濃度,および勾配の最適化が望まれます。

[検出]

本条件では酢酸アンモニウムを用いるため,220nmなどのUV短波長検出は困難です。この場合,中性リン酸緩衝液によるイオン強度グラジエントが必要となります。 たとえば 5mM -> 30mM リン酸緩衝液 (pH 7) + アセトニトリル グラジエントです。

[試料溶媒]

イオン性物質の場合,試料溶媒は必ずpH調整により試料溶液中の解離状態を制御しておく必要があります。 一般的にはA液に溶解しますが,化合物の性質により,酸や有機溶媒が必要とされます。
溶出ピークの形状や保持時間は溶解溶媒が影響することがあります。その場合には試料溶媒の検討が必須となります。

 
Scherzo SM-C18 を用いた汎用分析例 (SS-C18, SW-C18との比較)
上記条件において,Scherzo SM-C18 は全般に良好な応答を示す汎用性があります。

 

ピナベリウム臭素塩

NEW

胃腸疾患の治療に使用される鎮痙薬であるピナベリウムは塩基性が強いため,SS-C18では溶出が困難です。弱イオン性のSM-C18が適度な溶出と良好なピーク形状をを示しました。

 

 

アムロジピン ベシル酸塩

血圧降下薬であるアムロジピン ベシル酸(ベンゼンスルホン酸)塩の Scherzo カラム比較です。
ベシル酸のピーク形状とアムロジピンの溶出に関してSM-C18が良好な結果を示しました。

 

 

ネルフィナビル メシル酸塩

(LC-MS)

新型コロナウィルスへの効果が期待される,抗HIV薬・ネルフィナビル メシル酸(メタンスルホン酸)塩の Scherzo カラム比較です。
高極性でイオン性のメシル酸と疎水性の高いネルフィナビルの溶出バランスはSM-C18が良好な結果を示しました。

 

 

クロルフェニラミン マレイン酸塩

 (LC-MS)

抗ヒスタミン薬であるクロルフェニラミン・マレイン酸塩の Scherzo カラム比較です。
本条件では SS-C18とSM-C18が良好な保持とピーク形状を示しました。

 

 

リザトリプタン 安息香酸塩

片頭痛薬であるリザトリプタン(カチオン)は安息香酸(アニオン)塩を形成しています。
両者を同時分析するには,上記標準方法が便利です。
また,Scheroz SM-C18は適度なイオン性により,他のScherzoカラムよりも保持バランスに優れています。

 

 

バンコマイシン

グリコペプチド系抗生物質,バンコマイシンの Scherzo カラム比較です。
SM-C18(およびSW-C18)が,不純物分離に有効です。

 

 

チザニジン

筋緊張緩和薬であるチザニジン塩基性であり,SM-C18の弱イオン性が良好な保持とピーク形状を示しました。

 

 

タダラフィル

ホスホジエスチEーゼ5阻害剤であるタダラフィルを3種のScherzoカラムで比較すると,概ね類似した保持が得られました。このことは,溶質のイオン性はあまり強くなく,むしろ疎水的な保持挙動をとっているものと考えることができます。
このように,溶質のイオン性を把握するには,Scherzoカラムの比較評価が有用と思われます。

 

 

エペリゾン

鎮痙剤である塩基性のエペリゾンを3種のScherzo カラムで比較しました。
弱イオン性のSM-C18は,強イオン性のSS-C18やSWにくらべて良好な溶出挙動をとりました。

 

 

エトドラク

非ステロイド性鎮痛薬・抗炎症薬である エトドラクの Scherzo カラム比較です。
本条件では SW-C18が良好なピークを示していますが,SM-C18も適度な保持と形状を示しました。

 

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