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グラジエント分析をするとき、カラムや移動相の条件はしっかり確認しても、装置のミキサー容量まで気にしている方は意外と少ないのではないでしょうか。ところが、短いカラムや細いカラムで高速グラジエント分析を行う場合、ミキサー容量はクロマトグラムを大きく左右します。
■ミキサー容量が変わると何が起こるか 上図は、同じ条件でミキサー容量だけを 0.1 mL、0.5 mL、1.7 mL
と変えてペプチド5成分を分析した例です。
ミキサー容量が大きくなるほど、分析時間が長くなり、ピーク高さが下がり、分離の様子まで変わってしまうことがわかります。
■原因は「遅れ時間」
ポンプでグラジエントを開始しても、混合された移動相がすぐにカラムに届くわけではありません。ミキサー容量(遅れ容量、ディレイボリューム)を通り抜ける時間が必要で、これが遅れ時間(ディレイタイム)です。
遅れ時間 = 遅れ容量 / 流量
上図の例では、遅れ時間は0.1 mL ÷ 0.3 mL/min = 0.3
min、1.7 mL ÷ 0.3 mL/min = 5.7 min となります。
ミキサーの内部容量(遅れ容量)分の初期組成(12%B)移動相が、アイソクラティックでカラムに流れ続けているため、試料は意図しないアイソクラティック溶出を受けます。保持の強い成分はこの間カラム内で拡散し、ピークが広がります。一方、保持の弱い成分はグラジエントが届く前に溶出してしまうため、ミキサー容量の影響をほとんど受けません。成分ごとに受ける影響が違うため、ピーク間隔や分離パターンまで変わってしまうのです。
短く細いカラムほど、ミキサー容量の影響は相対的に大きくなります。4.6 mm
径の長いカラムで問題にならなかった装置でも、2mm内径の短いカラムに替えた途端に結果が合わなくなる可能性があります。
■装置の遅れ容量を知っておく
同じメソッドでも、装置が変われば結果が変わります。メソッド移管や他施設とのデータ比較では、装置ごとの遅れ容量の違いが原因になっていることがよくあります。
■カラムサイズに合ったミキサーを選ぶ 細くて短いカラムで高速分析をするなら、小容量ミキサーが有利です。
■小さければよいとは限らない
ミキサー容量を小さくすると混合が不十分になり、ベースラインのうねりやノイズが出やすくなります。特にTFAを含む移動相を低波長(220nm
など)で検出する場合は目立ちやすいので、ミキサー容量を大きくする必要があります。
■グラジエント装置による違い
低圧グラジエントは1ポンプで移動相を混合する必要があるため、容量の大きなミキサーが必要となります。一方高圧グラジエントの場合は、2ポンプの吐出量で混合するため、少量のミキサーで混合が可能です。
(参考)グラジエント装置構成の違い
■まとめ
グラジエント分析の再現性は、カラムや移動相だけでなく装置のミキサー容量にも左右されます。お使いの装置のミキサー容量がどのくらいか、把握することが大切です。
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