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同じカラムを使っているときは良好な再現性が得られているのに、同じブランド・同じ種類の別のカラムに交換すると、保持時間が変わってしまい再現性が得られないことがあります。
原因は大きく分けて、充てん剤の違いと分析メソッドの堅牢性の二つがあります。
■充てん剤バッチが違えば保持も変わる
HPLCカラムでは、シリカ表面に結合しているODSなどの固定相と溶質が相互作用することによって保持が生じます。したがって固定相の量が異なれば相互作用の大きさも変わり、保持時間も変化します。
例えば、基材シリカの比表面積が変われば、表面に結合できる固定相量も変化します。充てん剤の製造バッチが異なればこのような物性に多少の違いが生じるため、保持が変化すること自体は不思議なことではありません。
この影響が特に現れやすいのがアイソクラティック溶出です。
アイソクラティック分析では、一定組成の移動相中で溶質が固定相への吸着・脱着を繰り返しながらカラム内を移動します。そのため、固定相との相互作用が少し変化しただけでも、その影響が保持時間に現れます。
一方グラジエント溶出では移動相の溶出力を連続的に強くして溶質を溶出させるため、固定相のわずかな違いによる保持時間への影響は比較的小さくなります。
■もう一つの原因は「メソッドの堅牢性」
カラムを交換したときの保持時間の変化を、すべて充てん剤のバラツキのせいにすることはできません。分析条件そのものが不安定であることも原因となる場合があるからです。
溶質の官能基が固定相だけでなく、固定相付近に存在するシラノールやシロキサンなどの極性部位と非特異的に相互作用すると、わずかな充てん剤表面状態の違いが保持に影響します。
典型的なのが、イオン性官能基を持つ化合物を水/アセトニトリルだけで分析する場合で、この移動相ではpHもイオン強度も十分に制御されていません。そのため本来利用したい疎水的相互作用だけでなく、イオン的相互作用や静電的相互作用が副次的に保持へ関与することがあります。
このような条件では、カラム表面のわずかな違いによって相互作用のバランスが変化し、カラムを交換しただけで保持時間が変わることがあります。
■逆相分析でもpHとイオン強度は重要 「逆相だから水とアセトニトリルだけでよい」とは限りません。
溶質にイオン性官能基や極性官能基が存在し、副次的な相互作用(イオン的相互作用や静電的相互作用など)が起こる可能性のある場合には、移動相のpHとイオン強度を適切に制御することが重要です。
つまり、カラム間の再現性を向上させるには、カラムだけでなく分析条件そのものを堅牢にする必要があります。
また、再現性の得にくいメソッドの場合や溶質-固定相間の相互作用が強い場合はアイソクラティック分析よりもグラジエント分析を標準として検討することが推奨されます。
HPLCではなぜグラジエント法が基本なのか
一般的には、同じ充てん剤バッチから製造されたカラムであれば、カラムを交換してもほぼ同じクロマトグラムが得られます。
しかし、それだけで分析メソッドの再現性が確認されたとはいえません。
■メソッド開発の工夫
メソッド開発では古いカラムを使って分析条件を検討しても構いません。そして分析方法が決定した段階で新しいカラムに交換して再現性を確認します。古いカラムと新しいカラムで同じ結果が得られるなら、そのメソッドは「堅牢である」と考えられます。そしてこの再現性の確認(頑健性評価)には、できれば充てん剤バッチの異なるカラムでも同じ分離が得られることを確認することが重要です。異なるバッチのカラムでも分析結果が大きく変化しなければ、そのメソッドはカラムのわずかな個体差に左右されにくい、堅牢な分析法と考えることができます。
■まとめ
「同じカラムで何回測定しても再現する」ことと「カラムを交換しても再現する」ことは、同じ再現性ではありません。
カラムを換えて確認すること(頑健性評価)が、信頼できるHPLCメソッド開発には重要です。
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