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「セミミクロカラムは理論段数が高くなる」「細いカラムほど分離性能が良い」と思っていませんか? 実は、これはよくある誤解です。
細いカラムでは、試料がカラム内へ入ったあと、カラム断面方向へ拡散する距離が短くなります。そのため「内径が細いほど断面方向の拡散が少なくなりピークがシャープになる」と考えられがちです。
しかし、この考えには重要な点が抜けています。
■HPLCは「点注入」ではなく「面注入」
HPLCカラム入口には試料を断面方向に分散する「ディストリビューター(Distributor)」が存在します。
HPLCカラムの構造
配管から点状に入った試料は、ディストリビューターによってカラム断面全体へ均一に広げられてから充てん剤へ入ります。つまり、配管から出た直後は点状だけれども、カラム入口で面状(バンド)となり、その後に充てん剤粒子内外でカラム軸方向と断面方向、そして固定相表面上の拡散を繰り返しながらカラム内を移動する、という流れ(バンドの広がり)になります。つまり、カラム内径が小さくなると理論段数が向上する、ということにはなりません。
■実際に理論段数へ影響するもの
現実のHPLCでは、むしろカラム外拡散の方が問題になります。具体的には以下の装置部分が大きく影響します。
・インジェクター試料ループ内径と容量 ・カラム前の配管の内径と長さ ・カラム後の配管の内径と長さ
・検出器フローセル容量
内径2mmカラムでは流量が小さいため、これら装置側で発生する拡散の影響が相対的に大きくなります。その結果同じHPLC装置を使う限り、細いカラムほど理論段数が低下することさえあります。
適切に充填されたカラムなら、理論段数は主としてカラム長に比例します。内径だけを細くしても、理論段数が向上するわけではありません。
■セミミクロカラムの本当のメリット
セミミクロカラム最大の利点は、溶媒消費量の削減、廃液量の削減、ランニングコスト低減、です。
分離性能向上ではなく、省溶媒が最大のメリットと考えるべきです。
■内径3mmカラムという選択
上図に示したように、内径4.6mmカラムから2mmへ一気に小さくすると、カラム外拡散の影響が大きくなるために、理論段数がかなり低下します。
そこで現実的なバランスとしておすすめなのが内径3mmカラムで、以下の特長があります。
・溶媒消費量:約半分(4.6
mm比) ・2mmより装置拡散の影響を受けにくい ・セミミクロLCで扱いやすい ・分離性能と省溶媒を両立しやすい
■まとめ 「細いカラムだからピークがシャープになる」のではありません。
HPLCではディストリビューターによって試料は面状に導入されるため、理論段数はカラム内径では決まりません。むしろ通常のHPLC装置では、内径を細くするほど装置側の拡散が相対的に大きくなり、理論段数は低下しやすくなります。セミミクロカラムの最大のメリットは「高性能化」ではなく「省溶媒」です。
性能と使いやすさのバランスを考えると、内径3mmカラムは非常に合理的な選択肢として推奨されます。
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