YAZAWA HPLC COLUMN SCHOOL

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セミミクロカラムにしても濃度感度は向上しません
Semi-micro column does not improve concentration sensitivity.
「セミミクロカラムは感度が高い」と言われることがあります。しかしこれは多くの場合実験条件の違いによる誤解です。
感度向上の根拠として示される実験では、内径4.6mm、内径2mmのどちらのカラムに対しても同じ注入量が使用されています。しかし、流量はカラム断面積に比例して設定するのが基本です。例えば内径4.6mmカラムの流量が1.0mL/minのとき内径2mmは0.2mL/minとなります。
流量は1/5にしているにもかかわらず、注入量だけ同じというのは公平な比較とはいえません。分取クロマトグラフィーでは常識ですが、適切な注入量はカラム断面積にほぼ比例します。

■注入量も断面積に比例する
内径2mmカラムの断面積は内径4.6mmカラムの約1/5です。したがって流量が1/5なら注入量も1/5とするのが負荷量的には妥当です。
この条件で比較すると、図のように保持時間やピーク高さはほぼ同等になります。

■濃度感度は内径に依存しない
試料濃度が同じで注入量がカラム断面積に比例している場合、ピーク高さは試料濃度によって決まり、カラム内径にはほとんど依存しません。これを「濃度感度」と呼びます。
つまり理論上セミミクロカラムに変更しただけでは濃度感度は向上しません。

■小口径カラムで感度が上がる場合
一方で注入できる液量が限られている場合には事情が異なります。
同じ注入量を用いると、小口径カラムほど単位断面積あたりの導入質量が増えるため、ピーク高さが高くなります。これは「質量感度」の向上です。
ミクロLCやナノLCが高感度分析に利用される理由もここにあります。
ただし、過負荷にならないことが絶対条件です。
そのため小口径カラムでは、試料濃縮効果の高いグラジエント溶出が一般に利用されます。

■セミミクロカラムのメリット
セミミクロカラムの最大のメリットは、感度向上ではなく溶媒消費量の削減とMS(質量分析計)との相性の良さにあります。
たとえば内径4.6mmカラムを1.0mL/minで使用する条件は、内径2.0mmカラムでは約0.2mL/minに相当します。つまり同等の分離を維持しながら移動相消費量を約1/5まで削減でき、ランニングコストの低減や廃液削減に大きく貢献します。だだしカラム外拡散のために小口径ほどカラム性能は低下します。したがって省溶媒のためには3mmくらいがちょうど良い内径です。

またLC-MS分析では、低流量のほうがイオン化などのMS条件に負荷が少ないメリットがあります。内径2mmや3mmのセミミクロカラムではMSが好む流量領域に近づくため、より効率的な質量分析が期待できます。このため近年のLC-MS分析ではセミミクロカラムが広く利用されています。

■まとめ
セミミクロカラムの価値は「感度が高いこと」ではなく、「少ない溶媒で分析でき、MSに適した流量条件を実現できること」にあります。

ZF24 / 矢澤  到 [YAZAWA Itaru, hplc@imtakt.com]

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