YAZAWA HPLC COLUMN SCHOOL

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ベースラインの上昇 - アセトニトリル純度の影響

acetonitrile grade - baseline

HPLCの検出器を220 nmのような短波長に設定すると、移動相そのものの吸光度が大きく影響します。特にアセトニトリルのような有機溶媒では、試薬グレード(Fine Grade)とHPLCグレードの違いが明確にベースラインに現れます。

上の図は、Cadenza CD-C18(250 × 4.6 mm)を用い、1/1000希釈リン酸を含む水をA液、純度の異なるアセトニトリルをB液とし、35%Bから80%Bへグラジエントを行ったときの検出波長220nmによるベースラインを比較したものです。
特級グレード(Fine Grade)では、グラジエントの進行に伴い大きくベースラインが上昇しています。一方、HPLCグレードではベースライン変動がほとんど見られません。

この差は、アセトニトリル中に含まれる微量の不純物(特にUV吸収を持つアクリロニトリルやアクロレインなどの有機不純物)の有無によるものです。一般試薬グレードでは、精製過程が不十分なため、短波長領域での吸収が無視できず、グラジエント中にベースラインが上昇します。
対してHPLCグレードは、光吸収物質を極力除去する精製が行われており、グラジエント条件でもほぼフラットなベースラインが得られます。

短波長(200–230 nm)での検出では、移動相溶媒の純度が結果に大きく影響します。
短波長検出時に「HPLCグレード」を使用することは、不要なベースライン変動を防ぎ、微量成分の定量精度を保つうえで非常に重要です。



YJ30 / 矢澤  到  [YAZAWA Itaru, hplc@imtakt.com]

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