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HPLCカラム洗浄方法に統一的な手法はありません。固定相の種類によって方法が異なるからです。
以下は "シリカ系カラム"
に関する一般的な洗浄方法です。ただしメーカーによって考え方が異なりますので注意が必要です。
また下記の方法は必ず洗浄できるという保証はありません。ごく一般的な方法であり,メソッドごとに洗浄方法の工夫が必要です。
0) 共通操作と洗浄の限界 通液時間は分析流量にて20分ほどです。洗浄が長すぎるとカラムを傷めることがあります。
カラム洗浄というのはカラムにとっては過酷な条件であるため,洗浄作業は反対にカラム劣化をひきおこす可能性もあります。このためカラム洗浄しない方がカラム寿命が長くなる場合があることを理解する必要があります。
カラム洗浄の目的が「カラムが目詰まりして圧力が高くなったため」の場合,カラム洗浄後に圧力が低下しないケースがほとんどです。カラム洗浄というのは「固定相表面」の洗浄であって「充てん剤粒子間に詰まったゴミ」の洗浄ではないからです。一般に粒子間隙に詰まったゴミは洗浄することができません。注入試料にコロイドや微粒子が存在しないようにあらかじめ前処理しておく必要があります。
カラムに目詰まりしやすい生体試料は「タンパク質」「核酸(DNA,
RNA)」「多糖類」もしくはこれらの複合体高分子です。これらを以下のような方法で洗浄することはできませんので,注入前の試料から確実に除去するような前処理を実施する必要があります。
1) 逆相系カラム (Cadenza CD-C18, Unison UK-C18, C8, C1,
Phenyl)
一般的には有機溶媒濃度を上げることで疎水的な化合物は溶出できます。ただし残存シラノールにイオン結合した塩基性化合物のために以下の酢酸を加えた溶媒による洗浄をお奨めします。
アセトニトリル / 水 / 酢酸 = 90 / 10 / 1
中性側で洗浄するには以下の溶媒が推奨されます。
アセトニトリル / 100mM 酢酸アンモニウム = 80 / 20
2) シリカ系カラム (Unison UK-Silica)
シリカカラムは弱酸性以上のpHに弱いため,酸性pHで洗浄する必要があります。たとえば以下の方法があります。
[非水系移動相の場合] メタノール / 酢酸 = 100 / 1
[水系移動相の場合] 水 / 酢酸 =
100 / 1
3) アミノカラム (Unison UK-Amino)
アミノカラムは順相カラムであるため,移動相の極性を上げて洗浄します。ただ一般のアミノカラムは水系移動相に弱いため,水による洗浄でリガンドの脱離につながる恐れがあります。
Unison UK-Aminoは水系移動相に対する耐久性に優れているため,以下のような洗浄例が適用できます。
100mM
酢酸アンモニウム
4) イオン交換系カラム (Scherzo SS-C18, SM-C18, SW-C18)
「逆相+イオン交換」のようなミックスモード,マルチモードカラムの洗浄には有機溶媒とイオン強度による洗浄が必要です。
[洗浄例] アセトニトリル / 100mM 酢酸アンモニウム = 50 / 50
同じカラムでもメソッドによって洗浄方法が異なります。洗浄に関する「常套手段」はありません。カラム洗浄も「メソッド開発」の一部として設計する必要があります。
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