|
|
|
「HPLC移動相としてアセトニトリルと水だけを用いてすべての化合物を分析したい」という声がありますが、これは間違っています。イオン性の物質に対して解離制御ができないからです。
では解離しない非イオン性物質ならアセトニトリルと水だけで良いでしょうか? 一般的な化合物ではそれが可能な場合が多くあります。しかしシリカ系カラムの場合は、たとえ溶質が非イオン性であっても、水とアセトニトリルだけでは保持やピーク形状の再現性が得られないことがあります。それはシリカ表面に残存するシラノール基が原因となるケースがあるからです。
シラノール(SiOH)は「酸」です。 SiOH <-> SiO- , H+
のように解離します。 シリカ表面上には残存シラノールが存在し、中性pHでは必ず陰イオンになります。もし化合物が塩基性である場合、
解離したシラノールとはイオン的に相互作用して保持が長くなったり、固定相表面の不均一さによりピークのテーリングが生じたりします。
また解離シラノールは非イオン性化合物に対しても静電的相互作用(ion-dipole)がはたらいて、保持やピーク形状の再現性が得られない場合が生じます。
残存シラノールは「エンドキャッピング」工程によってできるだけ少なくはなりますが、皆無にはなりません。また長期的には水/アセトニトリルによってシリカ表面が加水分解されるためにシラノールが新たに発生します。
たとえ分析対象物質が非イオン性であったとしてもシリカ表面にイオン性のシラノールが存在する以上、移動相にはこの解離を制御するpH調整剤と適切なイオン強度が必要となります。
非イオン性物質を分析する場合、一般的には0.1% 酢酸の添加で再現性の高い分析が可能となります。酢酸は揮発性でしかもpH
3を下回ることのないシリカカラムにとっては良質な酸添加剤です。移動相中に10%ほど酢酸を添加してもカラムにはダメージがおよばないというアプリケーションもあります。
イオン性物質の場合には移動相のpHとイオン強度を積極的に制御しなければなりません。これを怠ると保持やピーク形状の再現性が得られなくなります。
移動相中のpH調整剤の調整方法はpHメーターを使わない方法が強く推奨されます。さらにカラム寿命のために、揮発性の酢酸アンモニウムやギ酸アンモニウムを用いた緩衝液を調製することが望まれます。
(参考)
移動相のpH調整にpHメーターは使わない<揮発性緩衝液の作り方>
|
|
|
ホーム
|
製品情報
| ニュース |
サポート
| その他 |
 |
|