クロマトグラフィー100年 (2003年)

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クロマトグラフィー100周年 記念学会
SBS 2003 ( 2003.5.13-18, Moscow, Russia )

はじめに
Tswettによりクロマトグラフィーが考案されてちょうど今年(2003年)で100周年になります。
これを記念してTwsettの母国であるロシアにおいて学会が開催されました。

"100 YEARS OF CHROMATOGRAPHY"
3rd Int. Symposium on Separations in BioSciencies SBS'03
13 - 18 May, 2003 Moscow, Russia

国内カラムメーカーとしては唯一の発表をしてまいりましたので,その様子について報告いたします。


SBS2003 学会会場 (モスクワ)


学会の様子
本会は生命科学における分離を中心とするものであり,Tswettが植物学者であったことや,彼にゆかりのあるロシア科学アカデミーが今回の主催であることに意義を感じます。学会発行によるTswett記念メダルからも,彼の母国で開催するにふさわしい記念学会の雰囲気を感じ取れます。

会場はモスクワ市街の中心部,モスクワ川やロシア政府のすぐそばにありました。入り口には,ロシア語で「クロマトグラフィー100年」と書かれた垂れ幕がかかり,英語圏の学会とは異なる趣がありました。

Tswett記念メダル


学会入口案内
(ロシア語で「クロマトグラフィー100年」と書かれています)


学会参加者は500人ほどで,決して大規模なものではありませんでしたが, モスクワ大学の学生など関係者による献身的で円滑な運営でした。
参加者はロシアの研究者が目立ちましたが,アメリカ,ドイツ,オランダ,など十数カ国あり,国際的な雰囲気がありました。
我が国からは,元・京都大学・中川先生,京都工繊大・田中先生,姫路工大・寺部先生というクロマトグラフィー学会重鎮による招待講演や,近畿大・多賀先生(本田先生)による発表がありました。

講演会場


ポスター発表も活発な討論がされていました。
我が国の民間では弊社の発表だけのようでした。
弊社の発表は以下の内容です。

「Novel Reversed-Phase HPLC Columns for Hyrdophilic Compounds Separation」

新製品・Unison シリーズに関する学術報告であり,
多くの研究者とディスカッションすることができました。
クロマトグラフィー100周年の記念学会で報告できたことは,カラムメーカーとしてたいへん光栄なことと感じております。

ポスター会場
(中央が弊社発表ポスター)


ロビーでは,聞き慣れないロシア語が飛び交い,にぎやかでしたが,コミュニケーションには一苦労しました。
併設展示会もロビーで開催され,世界各国からクロマト関係の機器が展示されていました。我が国からは島津製作所(GmbH)が参加していました。
他国の展示では滅多に見られない, ロシア製のHPLCもあり,人間を宇宙に送り出すことのできるロシアの技術力の高さがうかがえました。

会場ロビー



モスクワ市内
学会とは直接関係ありませんが,物珍しさから会場付近を散策しましたので,以下に報告いたします。

モスクワ中心部を流れるモスクワ川に夕日が沈み,近くの古風なホテルとともにとても美しい光景でした。市内には近代的なビルと,歴史的な建物が並び立ち,歩くだけでロシアの歴史の深さを感じます。

モスクワ川の夕べ
(左のお城のような建物が筆者の滞在ホテル)


モスクワは人口約900万人の大都市です。
大通りは10車線で広く,他国の大都市と同じように,たくさんの車が走っていました。少し異なるのは,ほとんどがドイツ製か日本製であること。「ボルガ」などの自国製はあまり見かけないという印象でした。それにしても日本車の多いことに驚きました。我が国との人的交流はまだ簡単ではないはずですが,物質的には日本製はロシアでも人気のようです。市内の広告塔には,日本製インクジェットプリンターやデジタルカメラの最新機種が見受けられました。
10年前に報道されたロシア初のハンバーガーショップなどは現在では市内あちこちにあります。
フランスやイタリアと同じ共和制,市場経済になって10年が経っていますから当然なのでしょうが,昔のソビエト連邦や「鉄のカーテン」のイメージを持っていた筆者にとって,自由化された市内の光景は,認識を新たにする必要のある強烈な印象でした。

モスクワ市内の大通り


歩道には露天商が並び,書籍や衣類,さらには最新のDVDによるハリウッド映画ディスク(ロシア語)を売っていました。DVDは世界的にはまだ普及の途上にあるはずですが,モスクワにおけるDVD普及度の高さを想像させます。
もっとも,日本のように書店や電気店,コンビニが乱立しているわけではないので,こういった露天商がはやるのでしょう。このアンバランスな状況は,知り合ったロシア人による「経済的には早く西欧に追いつこうと,市場経済化に努力している」という言葉に象徴されている気がしました。

歩道の露天商


ロシアは文学や音楽芸術の宝庫です。公園には何気なくトルストイの銅像が建っていたりします。
写真は音楽界では世界に有名なモスクワ国立チャイコフスキー音楽院とチャイコフスキーの銅像です。建物からはピアノやバイオリンなどを真剣に練習する音が漏れ聞こえました。 近年,我が国の若手演奏家も多くここで学んでいるようです。
現在ロシアを舞台に大活躍している我が国気鋭の指揮者・西本智美さんによるモスクワフィル演奏会のポスターも掲示されていました。邦人が海外で活躍していることはとてもうれしいことです。

チャイコフスキー音楽院


おわりに
Tswettの母国ロシアは,100年も前から
クロマトグラフィーの歴史を積み重ねてきたその深さを,学会を通して感じさせてくれました。体制的な変化や言語の障壁はあるものの,学術,技術,そして芸術,さらにはスポーツでもたいへん優れた実績と人材を排出する,スケールの大きさをあらためて感じました。今後,市場経済化や国際交流がさらに活発になることが想像,期待されます。

クロマトグラフィーに従事する者として,このような記念すべき学会に参加できたことを幸せに思います。
そしていつも海外へ出ると感じることですが,HPLC業界における「Made in Japan」も,もっと世界視野に立ってがんばらないといけないと,あらためて感じさせられる学会でした。

(ご注意: 本ページへのリンクは自由ですが,写真や図などの無断転載はお断りします。)
(文責:矢澤  到, 2003.8.16)


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